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言の葉の庭2013-06-29 Sat 03:31 映画館まで足を運んだ時、台風が近付いているだかで、雨が大きな音を立てて降っていた。そんな日に、新海誠監督アニメーション中編作品『言の葉の庭』を観てきた。 今まで沢山のアニメーション映画を見てきた。賞賛に値する映画を沢山見てきた。 その上で、私はこの作品が、他の長編、中編、短編問わず、アニメーション作品として、好もしく感じた。 この監督の作品では、登場人物がよく本を読む。夏目漱石から、万葉集まで、幅広い日本の文学を。 (この作品でも、登場人物の一人であるユキノが、夏目漱石の『行人』を読んでいた。あの表紙は、多分、間違いない。) 作品のキーとなる短歌は万葉集から、「私たち、泳いで川を渡ってきたみたいね」という台詞は、村上春樹の『ノルウェイの森』からの引用だ。 その様に散りばめられた台詞や、用いられた本が、私としては凄く落ち着く。単純に心地がいいと思う。 『言の葉の庭』は、小難しい話ではない。高校生の少年と、社会人の女性の二人が、雨の日が来るたびに少しずつ自分を取り戻す話だ。単純にただそれだけ。語り手の二人はいつも、自分を肯定出来ずにいる。自身が原因で、或いは、自身が全く及ばない場所で。 映像文学と評される通りに、映像や音楽で表現される手法によってあのラストが迎えられたのだと、強く思う。 『言の葉の庭』は先行してブルーレイが発売されているが、公開されている内は、出来るだけ劇場まで足を運んで欲しい。 あと、公式で流されているPVを見ていないのならば、それを見ずに、行くことを推奨したい。 スポンサーサイト
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おおかみこどもの雨と雪2012-08-16 Thu 18:18 7月25日に『おおかみこどもの雨と雪』を観に行った。以下、ネタバレがあるのでご注意を。 この映画はおおかみおとこと恋に落ちた大学生の花が二人のおおかみこどもを授かり、子育てに奮闘するという内容の物語だ。 物語は姉の雪が思い出を振り返る語りで始まり、そしてそのまま終わる。 私は最終的にこの若い母親の事を「ああ、そういうものなのか。」とは思えなかった。 彼女は人間味というものがまるで感ぜられなかった。彼女の周りには人間関係というものがまるでなく、幼い二人を育て上げる為に、書物に頼ろうとしていた。 それが間違いだとは言わないが、果たして、それだけで、幼い二人を抱えて、予防接種なども拒んで、誰にも相談せずに、子育てが出来るものなのだろうか。彼女に近しい人は、一人だっていなかったのだろうか? 特別私が気に掛けたのは、姉の雪である。彼女はしっかりとしていて、花もしっかりとした彼女よりも、病弱で手の掛かる雨の世話を優先していたように思う。 冬の日に、冷水が流れる川に雨が落ち、雪が弟を助けたあのシーンだって、花は川から弟を救い座り込んでいる雪に、なんの言葉も与えなかった。雨を抱き締め、ただその名前を呼ぶのだ。 息子の生命の危機にパニックになっているのは分かる。もしかしたら、その後で雪になにか言葉を掛けたのかもしれない。弱い弟、雪にとっても守る対象だった筈の弟に対して、彼女は一体どれほどの感情を抱いていたのだろうか。 母親は一人しかいない。花は世間で言うシングルマザーなのだから、その言葉が更に大きくなる。一人しかいないのだから、愛情は平等だとしても、弱い方に母の時間が割かれるのは仕方のない事だと私は思う。まだ小学生である雪にそれを納得しろと言うには、あまりに酷な話だろうけれど、心の何処かで、雪はそれを理解していたのではないだろうかと思う。自覚の有無は兎も角。 終盤の、大雨が降り、花が雨を追い掛け森に入って行く場面だって、学校に残され、母の迎えを待つ雪は、一言だって納得できない表情で「どうして母は来ないの?」とは言わなかった。鏡の前で、髪を触りながら、彼女は言うのだ。 「私も早く、大人になりたい。」 それがどういう意味なのか分からない。早く自立したいという意味なのかもしれないし、単純に大人として成熟したいという意味かもしれない。しっかりとしていて強い印象を受ける少女が、明るいとは言い難い表情でそう口にするのだ。 最終的に、この映画は花の子育てを全面的に肯定している。彼女自身の夢の中でおおかみおとこがそう言ったように。 私は彼女の子育てを肯定は出来ない。母親をしている人にとって、この作品が共感出来る内容なのかも判断し難い。 きっと私は花が恐ろしいのだと思う。彼女は一度だって声を荒げて幼い二人を叱る事はしなかった。それが一番この作品を深い影に落とし込んでいる。彼女は二人のこどもを育てた。なのに、花は少女の延長線上を歩いている印象が私の頭を付き纏っているのはどうした事だろう。 雨が去って行ったその後で、雪も母の元から去る選択をする。そして、雪の中の色々な感情に一段落ついた頃、彼女はこの物語を振り返り始めたのではないのだろうか。 作中に出て来るこの三人の親子は、全員が全員、危ういのだ。それがこの作品の賛否の分かれる原因だと思う。この作品は、どのような立場、位置を与えればいいのか、判断に困る作品だった。 |
一一月分読了本&感想文2010-08-03 Tue 22:34 |
十月分読了本&感想文2010-08-02 Mon 23:23 |
九月分読了本&感想文2010-08-02 Mon 22:52 走り書きした感想文を書き起こして公開。 9月(計31冊読了) カポーティ著 『ティファニーで朝食を』(9月6日読了) 皆川博子著 『蝶』(9月13日読了) 芥川龍之介著 『藪の中・将軍』(9月17日読了) 再読は『藪の中・将軍』のみ。 続きから短いですが感想文です。 ![]() |