いつもの、そんな日々。

最低月一更新を目指します。日常、読書、夢、映画、ゲーム、興味のあるものを取り扱います。

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郵便屋


 女は男にこう言ったという。
「不思議だと言われましても、その時は、ちっとも不思議だなんて私は思わなかったのです。だって、いきなりそう言われても、不思議がるどころか、笑うしかないでございましょ。
 あなたがシナへ行っている間に、その娘さんに会ったのです。恵み連なると書いて、恵連(えれん)だなんて、西洋の様なお名前を名乗ったんですのよ。
 その娘は、そうだわ。あなたがシナへ行ってしまった後、落ちた気と共にまどろんだ時に出会ったんです。私はふと気付くと、舟…、ほら、運河をよく行き交っている、小さい小舟があるでございましょ。それに乗っているじゃございませんか? 私は最初、嗚呼、あなたは彼岸に行ってしまわれて、私もそれを追っているのだわ、と思いましてよ。けれども、そうでもなかったのです。だって、昨日あなたは発ったばかりだったんですもの。夢の中の私は、きちんとそれを自覚しておりました。
 舟の上で私はいくつもの黒い影が、川の上にたちこめる霧の代わりに闊歩していて、けれども怯える感情はとんと皆無で、川向うに、あなた、あなた、何処にいらっしゃるんです、と呼び掛けると、此処にはおりませぬよ、誰も、と若い女の声がかえって来たのでございます。
 びっくりしていると、その声は確かに川向うから聞こえて来たのに、声の主は小舟に乗っていて、そうして、名前を知ったんですわ。私が山村の妻君であると知ると、娘は、それでは旦那様に会えぬ奥様の代わりに、私が会いに行って、文を受け取ってきましょう、だなんて、確かに言ったんですのよ。
 そうして、目を覚ましたんですの。私、あなたが恋しくて、気休めばかりの夢を見たんだと思いましたわ。それから暫く何も無かったんですけれども、これはそう、あの、この道をずっと行くと、誰もいない、かつての商店街が並ぶ場所があるでございましょ。そこを歩いていると、奥様、奥様、と呼ぶ声が聞こえるじゃありませんか? 私が振り返ってみても、そこには誰もいらっしゃらなかった。そうして、誰、誰、と呼び掛けると、声は笑って、旦那様はシナの何処其処にいらっしゃいますよ、と囁くの。
 恵連その人でございました。見ると、私の手の内には、文がしっかと抱かれていて、慌てて開くと、其処には、あなたの文字で、こちらは元気である、至急煙草を送られたし、だなんて書いているじゃありませんか? 恵連は姿は見せなかったけれども、確かにお渡ししましたよ、と商店街の影から言って、さっと消えて行ったのです。
 けれども、私はあなたがシナの何処にいるか分からなかったものですから、煙草を買って、枕元に置いて、恵連にこれをあなたへ送り届けてもらいたい旨をこころの内で明けて、いそいそ眠りに落ちたのでございます。
 すると、暗い頭の中で、確かに受け取りましたよ、と恵連の声が聞こえて、次の日目を開けてみると、煙草が無くなっているじゃ、ございませんか。そうして、あなたとのやり取りは、始まったのです。
 何度も、私の気が病んでいるのだと思ったのですけれども、確かに文にはあなたの字が書かれていたんですのよ。そして帰って来た今、あなたの口から、恵連なんていう西洋風な名前の娘と親しくなったのだよ、だなんて話を聞いたら、もう、この話をするしかないでございましょ?
 嗚呼、だけども、あなたが手紙を寄越したに違いない、その文は、あなたが帰って来てから、ちっとも見つからないんですの。可笑しいですわ。でも、あなたの近況を、私は全て知っていてよ。あなたがシナの何処にいたのかも、あなたが何処で何をしたかも…。恵連でございますか? あなたが帰って来てからは、一度も会っていないんです。ええ、もう一度会えたら、お礼を言いたいんですけれども。
 あ。そう言えば、最後の文はまだ残っていてよ。お読みになる? これは、恵連の悪戯に違いないのだけれど。」
 男は文を受け取った。こう書かれてある。
「旦那様ハ、支那ノ――ニテ戦死致シマシタ。 恵連」
「可笑しいでございましょ?」
 男はこう答えるしかなかった。
「そうだね。恵連には、今度お礼を言わなければいけないね…。」
「あら、何故?」
「何故って、私の全てを、彼女は確かに君に届けてくれたからだよ。最後は、私から君に、全てを伝えに来たのだけれど、その必要はなさそうだ。」
 それを離れた場所で見ていた女のきょうだい達は、こう囁き合った。
「また姉様のうわ言だわ。誰とお話しているのかしら?」
「駄目よ、あの人は、悲しい人なんだから。」
 女は文を抱いて、次の瞬間わっと泣き出した。如何なされました、如何なされました、と尋ねるきょうだい達の間を縫って走ると、私も追うのよ、私も追うのよ、と何か追い詰められた様に言って家を飛び出し、もう帰っては来なかった。
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うひゃああ

なんか色々手に付かないってばよ。どうも、リュイです。

同人昭和本届いてはすはすしてます!!
一度、こういう昭和だとか昔の資料を心行くまで集めてみたいですな。
色々な作品の参考になりそうだ。あと、美術館で度々行われている昭和展というものにも行ってみたい。
こっちではそういうのはないからなあ。どうしたもんか…。

テイルズ新作が楽しみ過ぎてどうしようって感じです。
最初の方はそうでもないのに、結局発売日に買ってしまうんですよねー。
今回はamazonでの予約だから、konozamaになる可能性もあるわけですけれども!
そういえば、amazonで「予約商品は発売日にお届けサービス」みたいなのを始めたと聞いてわくわくしながら飛んで行ったんですけれども、あれ金取られるんですか。
じゃあ別に要らないかなっていう。

積み本が増えてきてもう読み終えるまで新しい本買うなよっていうレベル。
ただでさえ読書スピードが落ちてるのに自分を追い込もうとしてるとしか思えねえ。
しかも読みたい本はぐんぐん増えていっているんですね。
ちゃんとメモしておかなければ忘れるわ、マジで。
オーノー。

あ、あと、やっぱり連載物は学校が始まるとペースが落ちますな。
スピード優先しているので誤字とか誤った表現とかのまま載せてる時もあり、ます…。すみません。
そういう時は数日中に修正出来ていると思うんでそれで勘弁してやってください。

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